フィギュアスケートの世界

宇野昌磨選手のジャンプは足に負担がかかるジャンプなのか

宇野昌磨選手のジャンプは足に負担がかかるジャンプなのか

こんばんは、MAYです^^
 
バタバタしている間に
3月になってしまっていましたぁぁ
 
 

もう世界ジュニアが始まっているっっ(涙)
という事で、この質問には答えとかなければ!と思い
記事を書かせていただきます。
 
 

hitsujiさんからの質問で
 
最近、ツイッターなどで
「昌磨くんのジャンプの着氷は膝に負担がかかってそうで心配。
早く癖を直した方がいい」という声をよく見かけます。
それでじっくり着氷を見てみたところ、
(ア)着氷時に体が回りきっていても、右足のつま先がやや外を向いている。
(イ)着氷後に深いアウトエッジに乗っている。
(ウ)着氷後に急カーブで流れる。3回転までのジャンプだと、小さな弧を描く。
という辺りが癖なのかなと思いました。
 
そこで質問です。
(1)上記のようなジャンプは評価としてはどうなのでしょうか?
3Aにはずいぶん加点がつくようになりましたが、
その他のトリプルの加点が少な目なのは、
ジャンプの高さがあまり出ないことに加え、
着氷後に後ろに流れないでその場で小さな弧を描くことも関係しているのでしょうか。
 
(2)進行方向に対してつま先が開いていることで、
膝に負担がかかるように思いますが、実際はどうなのでしょうか。
 
 

(3)上記のようなものは「直すべき癖」なのでしょうか。
だとしたら、昌磨くんやコーチはそのように認識して取り組んでいるのでしょうか。
 
初めてのコメントなのに長文になってしまい申し訳ありません。
これから長く昌磨くんを見守っていきたいと思っているので、
体に負担がかかるという意見をみると気になって仕方がないのです。
 
 
 

と言う質問をいただきました。

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私は、『右足のつま先がやや外を向いている』
というものが私の考えているものなのか確証が取れないと思ったので
どういうものかをhitsujiさんに詳しく説明していただきました。
 
 
すると
 
>よくよく見たら着氷時ではなく、着氷後でした。
着氷後、体が先に右にグイーンと回り込んで行くのに対し、
右足の向きが遅れてついていく感じです。
着氷後、流れている時に画面をストップすると、
右つま先が体の向きよりかなり右を向いています。
それで、膝に前後ではなく横向きの力が加わって
負担がかかるのかな、と思ったのです。
 
との返答をいただきました。
 
 
 

長文の質問ありがとうございます!
 
昌磨くんのスケートが本当に好きなんだなと言うのが
伝わってきました。
 
 

さて、では(1)から私の考えを
述べていきたいと思うのですが
  

>(イ)着氷後に深いアウトエッジに乗っている。
>(ウ)着氷後に急カーブで流れる。3回転までのジャンプだと、小さな弧を描く。

  

これ、実は先シーズンあたりから私もすごく気になっていました。
 
いつかの昌磨くんのジャンプを見たときに
ジャンプを降りた勢いでその場でスピンが出来るんじゃないか
と思ってしまうくらいの急カーブに見えたんですよね。
 
(実際やろうと思えばできるのですが。笑)
  

>その他のトリプルの加点が少な目なのは、
ジャンプの高さがあまり出ないことに加え、
着氷後に後ろに流れないでその場で小さな弧を描くことも関係しているのでしょうか。
  

小さな弧を描くことがGOEが少なめなことに
直結しているかどうかは私では判断しかねますが
高さがないこと、そしてなによりもジャンプの幅が
そこまで今の彼では出すことが難しいことが
かなり関係しているのではないかと思っています。

  

スケートのジャンプコーチが彼のジャンプについて
言っていたことがあるのですが、
 
昌磨くんのジャンプは腕を振り回す力を
まだ使っている状態
 
だそうなのです。
  

もちろん、腕を振り回す力だけでは
あそこまでのジャンプを跳ぶことはできません。

 
 

滑っていって氷を蹴って体を回転させるのはもちろん、
それに+αで腕を振り回す力によって体を
回転させている、ということです。
 
 

しかし、腕を振りまわす力を使ってしまうと
厄介なことが起きます。

 
 

それは、
 

左軸になってしまう
 
ということです。
 
 

昌磨くんをはじめ、多くのスケーターは
反時計回りにジャンプ、スピンを行います。
 
反時計回りのジャンプは右軸に
ジャンプの軸がないと右足で降りることが出来ません。

 
 

しかし、腕を振り回す力を使ってしまうと
軸が左に持って行かれてしまうのです。
 
(一度やってみるとわかりやすいですよ。
ジャンプはしなくてよいので、
両手を胸の少し前辺りにこぶしを握った状態に置き
体を選手のように回転させようとしてください。
 
このとき、腕を左側(まわり方向に)回転させる力で体をひねれば
腕は左胸、心臓の前に来るはずです。
腕が左側にある=左軸になっている、です。
 
しかし、腕の力で体を回転させるのではなく
体をひねって腕をそのまま胸の少し前あたりに置いておけば
体をひねったことでそのこぶしが右胸の前にいくはずです。
 
 

ジャンプの時には後者のやり方で跳ぶことで
右軸を作りやすくなります。)

じゃあ、どうして、
そんな左軸になるリスクのある跳び方で
彼はジャンプを跳んでいるのかというと
 
力がなくて跳べないのではないか、ということでした。

 
 

もちろん、これはそのジャンプコーチの見解ですし
本人や彼のコーチが今まで
そのようなことを言っていたこともないと思います。
 
しかし、今もなおその跳び方で跳んでいるということは
やはりまだ腕の力を使わないで跳ぶよりも
その跳び方の方が安定してジャンプを跳べる
という事だと思います。
  

宇野昌磨はなぜ右手をクルクル回すのか

で。
 
昌磨くんのスケートを見た人であれば、
きっと気づいているであろう、彼の着氷後の癖が
ありますよね。
 
右手をクルクルっとまわす、あの仕草です。

 
 

ジャンプを跳んだことのある人であれば
想像がしやすいと思うのですが
腕の力を使ったジャンプだと、どうしても
着氷時に左側に体が引っ張られます。

 
 

そのため、右手をクルクルっと回すことで
力を逃がしているんです。
 
 

最近の試合で、四回転を回りすぎて着氷することも
増えましたがそういうことが起きるのも
そういう力を使ってジャンプを跳んでいるからなのかなぁ
と考えています。
 
 

そして、もうお分かりかもしれませんが
 
>着氷後、体が先に右にグイーンと回り込んで行くのに対し、
右足の向きが遅れてついていく感じです。
>着氷後、流れている時に画面をストップすると、
右つま先が体の向きよりかなり右を向いています。
それで、膝に前後ではなく横向きの力が加わって
負担がかかるのかな、と思ったのです。

 
 

これも、そういうジャンプの影響を
もろに受けてしまっているのだと思います。

 
 
腕を振り回す力をジャンプに加えてしまうと
空中で軸が乱れてしまったり、
着氷時に足が遅れてきたりということが
起きやすくなってしまうのです。
 
 
 

では、このジャンプは
足に負担がかかるのでしょうか?
 
 

ちょっと、さすがに自分では判断しかねる
ということでジャンプコーチにまた聞いてみたところ・・・
 
やはり、普通のジャンプよりも
負担がかかっているだろう
 
とこのことでした。

 
 
質問してくださったように
進行方向とは違う力が膝にかかってしまえば
それだけ負担も大きくなります。
 
 
 

じゃあ、このジャンプを本人や
コーチたちは直そうとしているのだろうか?
 
という質問ですが
 
 

個人的見解として、
もちろん直そうとはしていると思います。

 
 
ただ、シーズン中にジャンプを直すには至難の業です。
 
今回のジャンプの場合
崩れたジャンプを直す、と言うわけではないですし
新たなジャンプに作り替えるという表現の方が
正しいでしょう。
 
 

やはり、それはシーズン中ではなく
シーズンが終わってから次のシーズンまでに
やることなのだと思います。
 
 

でも、彼は1年で素晴らしく成長してしましました。
 
昨シーズンの演技を覚えていないという方には
ぜひ見てみてほしい。
 
まだ、巻き足のジャンプを跳んでいたのですよ?
 
 

その癖が、今シーズンすべてのジャンプでなくなりました。
 
 

トリプルアクセルも4回転も跳べるようになりました。
 
 
シーズン前は3Aも4Tも
まだ跳べていなかった、
その時のジャンプの跳び方を今続けているだけで
ひょっとしたら、もう腕の力を使わなくても
ジャンプが跳べるかもしれません。笑
 
 

ジャンプは作り替えることが出来ます。
 
なので、今負担がかかるジャンプをしていたとしても
本人の努力、若しくはコーチの指導によって
よりよいジャンプを跳ぶことが出来ると思っています。

 
 
そして、私は彼のジャンプに対して
最近一つ思うことがあったのですが。
 
 
ジャンプに振り回す力を加えて跳んでいたことで
着氷の技術が他の選手よりも
はるかに高くなっていった
 
のではないかな、と。

 
 
先ほど書いたように
パワーがあれば振り回す力なんていらないのです。
 
スピードに乗って、氷を蹴って跳ぶ
 
その勢いで3回転や4回転をジャンプを跳べます。
 
 
でも、それが出来なかったから
腕の力を使う。
 
すると、体が回転中に振り回されやすくなってしまい
着氷時にそのパワーを逃がす必要がある。
つまり、腕の力を使ったジャンプは
回転はさせてくれるけれど着氷で
体を止めることが凄く難しくなる。
 
 
だから、彼は右腕をクルクルと回して
上手に着氷する。
 
 
このジャンプを彼は跳び続けることで、
少し軸が乱れてしまったジャンプでも
上手に着氷する技術が磨かれていったのではないかと思います。
 
 
もちろん、軸が乱れないことに
越したことはありません。
 
ただ、シーズン前に4回転もトリプルアクセルも
跳べていなかった彼がシーズン中に跳べるようになったのは
そういう着氷の素晴らしい技術があったからではないかと思うのです。
 
(結構、トリプルアクセルの跳び上がりで
ヒヤリとする場面もありましたからね。汗
しっかり着氷してましたけれど。)
 
 
その着氷の技術が、今シーズン最後の大きな大会
世界選手権でも発揮されることを祈っています。
 
ほんとにもうすぐですね!
 
 
山本草太選手、佐藤洸彬選手も
素晴らしい演技が出来ますように。
 
 
今回はここまでです。
 
 
読んでくださってありがとうございましたm(__)m
 
 


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コメント

    • きれじろう
    • 2015.03.06 13:39

    勉強になる話をありがとうございまっす。

      • MAY
      • 2015.03.12 23:12

      きれじろうさん

      こちらこそ!
      いつもありがとうございますm(__)m

    • hitsuji
    • 2015.03.06 14:09

    質問を差し上げたhitsujiです。
    とても詳しくご回答いただきありがとうございます。
    なるほどと思うことがいろいろありました。

    負担はかかっているだろうとのことですが、今季驚くほどの成長をみせてくれた宇野選手ですから、今後もより無理なく加点の狙えるジャンプを身につけていってくれる信じて、心配しすぎることなく彼の成長を楽しみに待とうと思います。

    まずは目の前の世界ジュニア、彼が練習の成果を発揮して納得のいく演技で終えることができるよう精一杯応援します。
    どうもありがとうございました。

      • MAY
      • 2015.03.12 23:15

      hitsujiさん

      いえいえ、こちらこそ
      ご質問ありがとうございました^^
      私の中でも、文章化することで
      より理解をすることが出来たと思います。

      >今後もより無理なく加点の狙えるジャンプを身につけて~
      ほんとにそうですね、
      彼はきっと大丈夫です。

      世界ジュニア、フリーは彼自身あまり納得がいかなかったようですが
      優勝と言う最高の形で見ていてほっとしました。。

      こちらこそ、ありがとうございました。
      また遊びに来てください(#^^#)

    • yuzurika
    • 2015.03.08 6:28

    詳しい説明ありがとうごうざいます。私も宇野選手のジャンプ気になっていました。とても才能豊かでこれからの選手なので負担の少ないスケートしてほしいです。
     ほかに注目している選手として山本選手がいます。ジャンプ、スピン、スケーティングが素晴らしいと思うのでこれからも伸びる選手だと思っています。MAYさんはどう思われますか?

     世界ジュニア男女メダル獲得、凄いですね!しかも男子はWメダル!今度も楽しみです。

      • MAY
      • 2015.03.12 23:25

      yuzurikaさん

      コメントありがとうございます^^
      おお、yuzurikaさんも気になっていらしたのですね。

      >とても才能豊かで~
      ほんとにそうですね>< それが出来るようになれば、より評価も受けるでしょうし 宇野選手もそんなスケートを目指していくのではないかと思います。 山本選手! いいですよね~彼^^ とても愛嬌のある子なので、どうしても『そうちゃん』 と呼びたくなってしまいます。笑 私も彼はこれからどんどん上手になっていくと思いますよぉ~ なかなか、あんな軽いジャンプを跳べる選手はいませんからね。 スケーティングもするする滑っていきますし、スピンも上手。 4年後(もう3年後というのかしら?)の五輪も十分に 狙える、狙っているだろうなと思う選手です。 そして、余談ですが 彼ら仲良すぎではないかと。笑 昨年のメ~テレ杯のフリー見に行ったのですが 製氷中に外で少し休憩をとっていると 昌磨くんと草太くんが仲良く自分のスケート靴を抱えながら 目の前を通っていきました。 普段は仲がいいという言うのは他の選手もあると思うのですが 試合中もそんなふうに接するというのは今までにあまり 見たことがないような気がするのです。笑 すみません、余談でしたm(__)m いやはや、凄かったですね~ ほんとに今年はジュニアで素晴らしい選手を多く知って よりスケートを見るのが楽しくなりました。 長くなってしまいました、 また遊びに来てください^^

    • L’oiseau Bleu(ロワゾーブルー)
    • 2015.03.10 0:58

    終わりましたねジュニアの世界選手権。
    昌磨くんは悔しさが残っただろうけど、今回はタイトル取れただけでよしとしないと。
    JGPF、全日本、四大陸、ジュニア世界選手権と大きい試合がてんこ盛りのシーズンだったからゆっくり体を休めてほしいですね。(でもたくさん練習しちゃうんでしょうね)

    彼の場合はまだまだ身長も伸びそうだし、筋力がつけば自然に腕を振り回さなくても跳べるようになりそうですけどね。MAYさんが書いてらっしゃるように、腕を回すと体を止めて降りるのがすごく難しくなるのならば、おそらく今は「若干回り過ぎ」で降りてしまうから着氷後にrがきつい弧を描くトレースになるのでしょう。

    ひとつ気になるのは、今回は山本草太くんは演技前に昌磨くんにパワーをもらいに行ったかどうか(全日本の腕ブンブンです) (笑)

      • MAY
      • 2015.03.12 23:35

      L’oiseau Bleu(ロワゾーブルー)さん

      コメントありがとうございます^^
      いや、ほんとにそうです。
      あの四大陸選手権からよくぞここまで・・・!
      と言う感じです。

      たくさん練習しちゃうのはスケーターの性でしょうか>< そうなのです、もうそういうジャンプのことも考えているのでは? と勝手に思っています。 >おそらく今は「若干回り過ぎ」で降りてしまうから 着氷後にrがきつい弧を描くトレースになるのでしょう。 その通りです!(という解釈を私はしています) 回りすぎてしまうと後ろに流れていくのが難しいですから 見ている人は『どうしてあんなトレースを描くの?』 と思うだろうなぁ、と。 でも、選手によっては回りすぎではない しっかりとしたジャンプでも着氷後きつい弧を描くような そんなジャンプがあるので、それも近々説明したい と思っています。 >山本草太くんは演技前に昌磨くんにパワーを~ 全日本の腕ブンブン!(笑) 今回のフリーも草太君いい演技でしたから 腕をブンブンしなかったかもしれませんが パワーは貰いに行っていたかもしれませんね。笑 というか、昌磨くんも草太くんも試合前に かなり他の選手よりもリラックスしている気がします。 一気に集中力が入るタイプなのかな? なんて思っています。

      • みてい
      • 2015.03.16 22:13

      ロワゾーブルーさん、
      宇野選手と山本選手の腕ブンブン。
      フジTV関東ローカルの優勝特番で、第3Gの山本選手が通路でウォーミングアップ中に第4Gの宇野選手が会場入りしてきた場面を映していて、
      二人がすれ違う時、宇野選手が笑顔で右手をブンブン上下に動かし、山本選手がそれに応えて両手をブンブンと動かしていました。
      全日本の時のように握手してませんでしたが、同じような動きだったので、パワー注入だったのではないかと勝手に想像してます(笑)。
      なんだか微笑ましいですよね。

    • yuzurufight
    • 2015.03.12 21:33

    こんにちは。いつも読ませていただきありがとうございます。こちらの記事を3月13日に紹介させていただきます。もし何かありましたらご連絡ください。よろしくお願いします。

      • MAY
      • 2015.03.12 23:38

      yuzurufightさん

      こんばんは^^
      こちらこそいつもありがとうございます!

      またまた紹介いただくという事で
      ありがとうございますm(__)m
      私の方は何の問題もありません。

      いつも読んでいただいてありがとうございます^^

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